バス風景を行く [8]

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36 スイセンの咲く岬

伊豆急下田駅~爪木崎 南伊豆東海バス

Shimoda Tokai-Bus

伊豆半島東海岸の南端近くに位置する下田市、伊豆七島に向かって相模灘に突き出しているのが爪木崎(つめきざき)。東京から直通列車が乗入れる伊豆急下田駅にほど近い下田港は幕末に長年の鎖国を破って開港し、領事館が置かれた場所として学校の教科書でもおなじみの土地。下田駅からバスで15分ほどの爪木崎は半島に囲まれた穏やかな内海の下田港とうって変わり、太平洋から荒波が押し寄せ、時に吹き飛ばされそうになるほどの強風が吹き付ける。
バスの終点から岬の先端の灯台までは海岸沿いと尾根筋の2つの遊歩道が整備され、往復で違った風景を楽しむ事が出来る。岬一面にスイセンが植えられ、その数は100万株とも300万株とも言われている(観光協会、料飲組合資料などによる)。見頃は年によって変動するが、おおよそ年明けから2月中頃まで。所定ダイヤではバスの本数は多くないが、スイセン祭りに合わせて臨時バスが増便される。バス乗り場近くには茶店や入場無料の熱帯植物温室もあるので、寒風吹きすさぶ中のバス待ちも安心。(福本)


<2013年 3月掲載>

37 南の国のえらぶゆり

和泊~国頭 沖永良部バス企業団

ERABUYURI

温暖な薩南諸島。そのひとつ沖永良部島は亜熱帯気候、海はさんご礁でエメラルドに輝いている。春になると、島の至るところに、えらぶゆりが咲き乱れる。
島の玄関口、和泊からもうひとつの玄関口、空港のある国頭方面のバスに乗車すると赤土の畑が広がり、ジャガイモやサトウキビのほかに大輪のテッポウユリ、そうエラブユリが車窓から楽しめる。
島内の花屋さんでは、島外の全国各地へコメント入りでこのエラブユリを発送してくれる。 初夏の島内、エラブユリの他、フリージア、ハイビスカスなど南国の花々の他、日本一のガジュマルの木が元気に島民を見守っている。(高橋)


<2013年 4月掲載>

38 山陰地方最後のボンネットバス

米子駅~母里~井尻 一畑電鉄(現・一畑バス)

一畑電鉄

島根県バス会社の名門、一畑電鉄がなんと鳥取県米子駅起点に島根県内陸に山深く運行されていた。
地元2社のバスに遠慮してか米子駅前の小さな営業所兼乗り場。出発時刻になったが乗っているのは乗客のみ。地元の人たちは分かっているのか、乗り遅れのないようにか時間が過ぎて運転士さん車掌さんが乗ってきて出発。今では時間に限らずうるさい時代、のどかな思い出でもある。
しばらくは国道9号線を西へ。県境越えて島根県に入ると左折して上り坂と共に南下。伯太町に入って母里。更に奥深く分け入ると宮本前、北海道によくある○○宅前のバス停も存在。
2両が所属し1運用。一日交代で運行していたため、車両交代のため1日1回、所属営業所の安来へも姿を見せていた。(高橋)


<2013年 5月掲載>

39 山中湖花の都公園

富士山駅-花の都公園-富士山駅 富士急山梨バス(株)

富士急山梨バス

さきごろ世界遺産ともなった日本を代表する富士山。この富士山駅に降り立つ。
バスで山中湖花の都公園で降りる。名前の通り山中湖に近いが、近辺五湖は名高いが、それ以外多くの観光地、みどころは数知れない。
この公園は、ゆっくりしずかに癒される広大な公園だ。二階のバルコニーから見渡せば、緑の中を雄大に走るバスがやって来る姿が遠くから見える。
のどかに走り目のでは花に囲まれた姿を見ては通り過ぎて行く、この飽きない光景。
年中花は咲く乱れ、ホームページで、その時期にどんな花が咲くか、現在どんな花が咲いているかの情報も得られる。花に囲まれ、幸せそうに走るバスをゆっくり眺めてみよう。
バス路線も複数通り、バスの車両の種類ももいろいろ、レトロバスふじっ湖号もやって来る。(高橋)


<2014年 1月掲載>

40 小京都を行く瀟洒なバス

高山駅-(高山市内)-高山駅(撮影時)  
現在  :高山駅-飛騨・世界生活文化センター 濃飛乗合自動車

濃飛乗合さるぼぼバス

さるぼぼバスが走る。さるぼぼは飛騨に古くから伝わる民芸品でさるのお守り。
高山駅を降り立ち、高山バスセンターより市内線バスに乗る。小京都と呼ばれるだけあり瀟洒な町並み中心部を流れる宮川を渡る。
各地でレトロバスが活躍する中、大型車両で後部が二階建てになっている車両はめずらしい。外観も内装も木目調で手作りの温かい感覚を受ける。最後部二階に腰掛けると、乗ってくる人たちの様子や車内全体、そして外に目を向ければ美しき飛騨の町並みが見通せる。
撮影時は高山市内線で運行していたが、現在は主として飛騨ボッカーの愛称で高山市南に位置する飛騨・世界生活文化センターシャトルバスとして運行中。(高橋)


<2014年 8月掲載>


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